2014年11月12日水曜日

仮想キーボードの素晴らしさと現代社会への妄想

Synergyという素晴らしい入力デバイスコントローラがある。

複数のMac/PCを1つのマウス、キーボードでコントロールするのだが、ベヒーモスなハードウェアでやるのではなく、ソフトウェアで仮想的に実現するのだ。しかも一々切替スイッとを押すことなく、カーソルの移動に応じて、PC間を移動できる。素晴らしい発明だ。
詳しくは検索してもらうとして、とはいえ自分は使っていない。1つは仮想的に行うが故にどれか1台をサーバにする必要があるのが使いづらいからだが、それは慣れの問題だと思う。便利なのだがどれをサーバにするかで迷う。だから全部が常に両方の機能を備えつつ、状況に応じて誰が優先的にサーバになるか決めるような仕組みが美しく実現できるなら、この悩みは解消するかもしれない。しかし問題なのはもう一つの方の理由で、それは、いまひとつ頼ることが出来ないある疑念を拭い去れないからだ。

ある疑念。

というより半ば被害妄想といったほうがいいかもしれない。断っておくが私はSynergyにそういう疑いがあるなどと失礼千万なことをいうつもりは毛頭ない。だからこれは被害妄想だと思っていただきたい。

キーボードを仮想化するということは、入力した内容がソフトウェア的に「すべて」把握できるということだ。そう、パスワードも。

銀行のオンラインなどでは、恐らくウィルスに感染した場合に備えてだと思うが、ブラウザ上にソフトウェアキーボードを表示し、それを使って入力できるようにしているところもある。それでも万全とは言えないだろうが、もしキーボードを監視しているウィルスが潜んでいた場合、一定の効果はあるだろう。

 つまりもし、Synergyのような仮想キーボードに悪意を注入すれば、ユーザの行動を追跡し、重要なアカウント情報を盗み出すことが簡単にできてしまうのだ。もちろん(これは楽観的な考えかもしれないが)悪意のある仮想キーボードはウィルス(病)的であるので、悪事が広く知れ渡れば削除もできるだろう。しかし被害妄想としては、単にリスクをより高くするような気がしてならない。

これが特定のアプリであれば、(MacOSXの場合)アクセシビリティにチェックを入れる時点で不審に思い気づくことも十分考えられるが、そもそも仮想キーボードなのだから、そこはスルー(アクセシビリティを許可)してしまう。

とはいえ、システムを乗っ取られるようなものを入れてしまったら同じことなので、結局は単純にそのソフトウェアを信用できるかどうかでしかなく、つまり被害妄想なのだが、下地を作ってしまうような感覚が、その脱却から二の足を踏ませる。

だからもう一度言おう。Synergyは素晴らしい発明だ。そして私は被害妄想から抜け出せないでいる。